「カーッ、ペッ!」と爆音の洗礼。中国南部2週間の旅で見えてきた「変わらない」人々

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中国南部、広東省の各地を巡る旅に出て2週間以上が経ちました。
今回の旅では日本人旅行者はもちろん、外国人そのものの姿をほとんど見かけることがありません。まさに地元の人たちに紛れ、彼らの生活の温度を間近に感じながらの移動が続いています。

前回の記事で触れましたが、今や中国はITやキャッシュレスが極限まで進化し、指先一つで何でも完結する非常に便利で楽な世界です。

9年ぶりの中国一人旅。キャッシュレスの「超絶進化」に驚いた

しかし、そんな「外側」の進化とは裏腹に、人々の内面、いわゆる「性質」のようなものは、驚くほど変わっていないようです。

むしろ、その光景はどこか日本の「昭和」を彷彿とさせ、懐かしくも圧倒される瞬間が多々ありました。
今回は、そんな中国旅で目撃した「ちょっと残念、でも凄まじい」彼らのリアルな日常を綴ってみたいと思います。

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中国のとある街角

どこまでも自由な「タバコ」の風景

中国の人たち、特に男性はとにかくどこでもタバコを吸います。
人の多い路上や広場、食堂などは当たり前。
驚いたのは、ピカピカに磨かれたデパートでのこと。流石に建物内の禁煙エリアでは吸っていなかったけど、外へと通じるエントランス付近に至ると、もう我慢できないといった様子で構わず火をつけるのです。
出口が見える場所であれば吸ってOKみたいな風潮があるんでしょうか。

また、移動中の列車でもその洗礼を受けました。
一応?禁煙車なのか座席で吸う人は流石にいませんが、車両と車両の間の連結スペースは立派な喫煙エリア。仕切りのドアも開けっぱなしなので、当然のように煙が客席まで漂ってきます。3時間ほど揺られている間に、副流煙のせいで軽い吐き気を感じるほどでした。
分煙という概念が浸透した日本から来ると、この「煙の自由」には少し面食らってしまいます。

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二等硬座の様子。奥の連結部分から煙が常に漂ってくる。

街に響く「カーッ、ペッ!」の音

そして、もう一つの洗礼が「痰吐き」です。
とにかく、どこにいても痰を吐く音が聞こえてきます。主に中年男性に多いようですが、若い男性や、時には年配のおばあちゃんまでもが「カーッ、ペッ!」と路上に吐き捨てています。幸い、若い女性にはまだ恥じらいがあるのか、そうした姿を見かけなかったのが唯一の救いでしょうか。

人の多い道を歩けば、10メートルおきにあの独特の音が響き渡る勢いです。うかつに荷物を地面に置こうものなら、周囲をよく観察してからでないと汚物に触れてしまいそうで、本当に気が気じゃないです。
悪気はないんでしょうけど、すれ違いざまに吐き捨てられることも。近くでやられる身としてはまったくもって不愉快ですが、現地ではそれすらマナーの深刻度としては「初級レベル」なのかもしれません。

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人が多いところは痰吐き率が上がる。

列車の連結部にあるゴミ箱に盛大な音を立てて吐き捨てるおじさんや、優しそうに見えたおばさんの「カーッ、ペッ!」を目にするたび、やはり少しショックを受けてしまいます。

ある時は、33階建ての高層ビルのエレベーターホールで掃除スタッフの女性が痰を吐いている場面に遭遇しました。見ればまだ若い女性です。自分で掃除するからいいのか…!?
「誰もいない」と思ったのかもしれませんが、日本人的に気配を消して歩いていた僕の存在には気づかなかったようです。

【なぜ中国人は人目を気にせず痰を吐くのか?】
中国では古くから「体に溜まった悪いものは外に出すべき」という考え方が根強くあるようです。出すことは健康に良く、溜めることこそ不潔で毒だという理屈ですね。
でもねえ…。文化的な背景があるとはいえ、現代的な都会とのギャップには、やはり驚きを隠せません。

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痰を率先して吐くのは中高年以上が多い印象。
都会の若者の意識は変わってきてるのか、痰を吐く姿はあまり見られない(気がした)。
写真はハイテク都市、深圳。

騒音公害?それとも元気?圧倒的な声のボリューム

中国の方は、とにかくどこにいても声がデカい。特に集団になるとそのボリュームは凄まじく、言い方は悪いですが「騒音公害」と言っても過言ではないほどです。
街中はもちろん、バスや列車、狭い店内、エレベーター、果てはドミトリーの部屋に至るまで、彼らは「声のトーンを落とす」という概念を知らないかのようです。
いくつかエピソードを紹介します。

走る拡声器、ローカルバスの光景

ローカルな路線バスに乗ると、必ずと言っていいほどおばちゃんたちの賑やかなお喋りが始まります。全くの初対面同士でも臆することなく、デカい声でコミュニケーションの輪が広がっていくのです。

ある時、乗ってきたおばちゃんのバスカードがうまく動作せず、運転手が何か声をかけていたですが、その声がまた果てしなくデカい。そして応えるおばちゃんの声も負けじとデカい。
無事に解決してバスの奥へ移動する時も、「なんだかうまくいかなかったわよ!嫌ねえ!」みたいな調子で誰にともなく独り言を大声で放ち、それに他のおばちゃんが呼応する……。
気づけば車内は、大声が響き合う巨大な拡声器へと変貌していました。

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バスの車内。静かな時もあるが、
誰かが喋り出すと連鎖反応で爆音のお喋りが勃発することがある。

運転手の熱意と「4回のピッ」

バスといえば、こんなこともありました。 僕が乗車して、いつものようにAlipayで料金を支払おうとした時のこと。
そのエリアのバス料金はたった1元(約23円)と安かったので、ラッキーと思いつつバス乗車時に一回「ピッ」とやりました。
しかしなにやら運転手が突然怒鳴り出すのです。それが自分に向けられているとは思わず席に座ろうとすると、さらにボリュームを上げて怒鳴り散らしてくるではありませんか。
前の乗客が「あんた、呼ばれてるよ」と首をクイっと動かして教えてくれたので、慌ててGoogle翻訳で聞いてみると、「どこまで行くのか運転手に伝えて」とのこと。

恐る恐る目的地を見せると、運転手は指を4本立ててQRコード読み取り機を指差しました。どうやらこのバスは距離に応じて金額が変わるらしく、合計で4元かかるようで、QRを4回読み込ませる必要があったようです。

そんなパターンは初めてだったので、まさに「知らんがなー」状態でしたが、残り3回をピッ、ピッ、ピッと繰り返すと、運転手は急に静かになりました。
少しの不正も見逃さないその仕事熱心な「爆音」の剣幕に、僕ははしばらく心臓がバクバクしていました。

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イレギュラーなパターンもあるバス乗車時の運賃支払い。

孔雀よりも賑やかな観光客

ある公園での出来事も忘れられません。
そこには10羽ほどの美しい孔雀がいたのですが、そこへやってきたおばちゃん集団がとにかく凄かった。

「あら、綺麗ね!」「ほら、羽を広げなさいよ!」「ほら!ほら!」

とにかく孔雀を急かすように大声で騒ぎ立てる。日本なら「静かに見守って」と言いたくなるシチュエーションです。しかし、健気な孔雀たちはそのプレッシャーに負けず(?)見事な羽を広げてみせ、それを見たおばちゃんたちは更なる大歓声と写真撮影の嵐。対象を大声でけしかけるのが、彼ら流の愛で方なのかもしれませんね。

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せっかくの孔雀鑑賞も大音量のおばちゃんボイスに気が気じゃない

カオスなエレベーターとロシア人の怒り

宿泊した高層ビルの安宿での出来事。
そのビルは宿が密集しており、朝のラッシュ時はエレベーターがなかなか来ない「戦場」と化します。やっと乗れたエレベーターはすでに満員。そこには一人のロシア人観光客も乗り合わせていました。

28階から降りていくのですが、なぜか止まる必要のない各階で扉が開きます。外で待つ人たちが全台のボタンを押しまくるため、空の階で何度も扉が開くのです。次第に中国人たちがざわつき始め、途中の階で無理に乗ろうとする人がいれば、「ダメダメ、乗れないよ!」と大声で突き返します。

あまりに各階に止まるため、ついに皆のタガが外れ、エレベーター内は大騒ぎ。怒り出す人、笑い出す人、もうとにかくカオスです。
その拍子に掃除スタッフのモップがロシア人に当たり、今度はロシア人が激怒。すると中国人たちは掃除の女性をかばうようにさらに声を荒らげ、暴音の連鎖が止まりません。
1階に着く頃には、静かな日本人の僕はすっかり疲れ果ててしまいました。

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28階の部屋から見えた景色。
毎回エレベーターに乗るのが苦痛で仕方がなかった。

静かに車窓風景を楽しもうとしていたのに…

日本では列車やバスなど閉鎖空間での通話は完全な「マナー違反」。
しかし中国は全然そんなことなく、外にいる時と同じトーンで電話が始まるのでほんとにやめてもらいたいと思いました。
高速鉄道で2時間ほど乗車する時、窓際に座って静かに車窓風景を眺めようと考えていました。予約時に窓側を選び、運良くいい感じの座席を確保できたまでは良かったのですが…。
僕の隣に座ったのは大柄の中国人。そしてあろうことかスマホを出して大声で喋り始めました。前述の通り「小声で話す」という概念がないので、常に100%全力の会話です。
「うわ〜」と思いつつも、すぐに終わるだろうと我慢していました。
ようやく通話が終わった様で静かになったのも束の間。今度はスマホに口を向けまた爆音で喋りかけています。テキストメッセージを打つのが面倒臭いのか、音声で入力しているようです。その声もよりによってデカい。その後通話と音声入力が繰り返され、2時間の間が静かになる時間はほんのわずか。
何か仕事関係のやりとりなのか、たまに興奮して100%が120%になったりして、そのたびに僕は顔をしかめるしかなかったです。

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2時間ずっとスマホに向かっていた男性。
こちらはイヤホンして爆音で音楽をかけていたのに
それさえも通り越してくる「通る声」だったのがつらい。

交通ルールと「秩序」への想い

最後に触れておきたいのが、電動バイクの奔放さです。 中国では今、ほとんどのバイクが電動です。排ガスが出ず静かなのは良いのですが、音がしないまま、歩道でも公園でも所構わず突進してくるので、何度もヒヤリとしました。

スマホをいじりながら、あるいはタバコを吸いながらの「ながら運転」は当たり前。ポイ捨てをしながら走り抜ける姿を見ると、交通マナーとは一体……と考え込んでしまいます。
日本では今、自転車の歩道走行すら厳しく制限されるようになっています。「少し規制が厳しすぎるのでは」と思っていた僕ですが、中国のこの惨状を目の当たりにすると、秩序正しい日本のルールがどれほどありがたいものか、改めて実感してしまいました。
(とはいえ、4月からの規制強化はちょっとやりすぎなんじゃ…とは思いますけどね。)

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歩道だろうがなんだろうが、構わず突進してくる電動バイク

今回のケセラセラ どこか懐かしい昭和の残像

他にもたくさんの「中国人ネタ」がありますが、枚挙にいとまがないのでこの辺で終わりにします。

ところで中国を旅行していると、街中でたまにマナー改善を促す看板を見かけます。

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中国の街中で見かけた「文明行動規範」の看板

これらのマナーが守られているのかと言えば、かなり残念な現状があるわけですが・・・。
しかしかつての日本も、同じような道を歩んできたんじゃないかなと思います。 路上駐車、自転車のマナー、どこでもタバコ。僕が子供の頃、駅のトイレに痰壺が設置されていたのを微かに覚えています。

中国の旅が長引くと、そのエネルギーの強さにどうしても疲れてしまうことがあります。ITやキャッシュレスが進んでも、人々の根っこにある「剥き出しの生命力」はそう簡単には変わりません。

「便利さ」と「泥臭さ」が同居するこの不思議な空間。昭和の日本を知る世代には少しだけ懐かしさを覚える瞬間があります。逆に昭和を知らない世代には新鮮な衝撃として映るのではないでしょうか。

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