9年ぶりの中国一人旅。キャッシュレスの「超絶進化」に驚いた

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現在、中国を旅しています。
前回一人旅をしたのは2017年のこと。2026年の今、実に9年ぶりの中国。
(※2019年に家族でパックツアーに来たことはありますが、自分の足で試行錯誤する「能動的な旅」としては、やはりこの9年のギャップは凄まじいものでした)

9年前と比べて、変わったこと、変わらないこと。
いろいろありますが、何と言っても最大の衝撃は「キャッシュレスの超絶進化」。
もはや「便利になったね」なんてレベルじゃない。社会のOSそのものが、ゴリゴリに書き換わってしまったかのような感覚です。

AlipayとWeChat Pay。この二つがないと、一歩も動けない

今の中国、スマホ決済ができないと「人権がない」と言っても過言じゃありません。
日本でもQR決済は普及しましたが、中国は次元が違いました。

スーパーやコンビニは当然。路地の片隅で商売をする屋台のおばちゃんも、リヤカーでココナッツを売るおじさんも、全員がQRコードを持っている。

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フルーツ売りのおばちゃん。
WeChatPayのQRコードが貼られたカードを差し出してくれた。
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ローカル色強い屋台食堂にも必ずQRコードが。

支払いが発生するあらゆる対象にQRコードあり。公園の池で見かけた子供向けの水鉄砲アトラクションも然り。
派手な放水銃にQRコードが貼ってあって、親がスマホでピッと決済した瞬間、ドバーッ!と放水開始。
子供は大喜びですが、親のスマホが「遊びのスイッチ」になっている光景…。ITの浸透、ここまで来たか、という感じです。

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おじいちゃんが孫のためにQRコードを読み込む。

「食事したらピッ」が当たり前の日常

レストランでの体験も、これまたシステマチック。支払いの形態は主に2つです。

  • 前払い制: カウンターで注文し、店側が提示するQRを読み取って金額を入力。
  • テーブル注文制: テーブルのQRをスキャンするとスマホにメニューが出てきて、そのまま注文・決済まで完了。チェーン店や大型レストランなど、しっかりした店ではこの対応が多い。

「金額を自分で入力するタイプだと、食い逃げする人はいないの?」なんて心配したものですが、システム上で金額がバッチリ確定してるようなので、そんな心配はないようです。しかもすべてのアカウントが実名認証と紐付いているから、下手に悪さをすれば社会的なペナルティが待っています。
「デジタルによる徹底した管理と信頼」。これが今の街を動かす潤滑油なんでしょう。

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前払い制の店にて。Alipay(支付宝)アプリを開いてQRコードを読み込む。

便利さと引き換えに、消えゆく「温度」

ただ、この圧倒的な効率化の裏で、ふと寂しさを感じる瞬間もあったりします。
店に入り、無言でスキャンして注文。食べ終わったら無言で立ち去る。
店員さんと客の間で「ごちそうさま」「ありがとう」といったやり取りが、ほとんど見られないんです。

多くの客は、食事中もスマホに釘付け。イヤホンもせず大音量で動画を流す姿も、もはや日常茶飯事。
他人の目を気にしない中国らしい大らかさ、と言えば聞こえはいいけれど、あまりに無機質。
だから僕はあえて、「いただきます」「ご馳走様」と日本語で声をかけるようにしています。
店員が何か言葉を返してくれたり、あるいは無視されたりもしますが(笑)、この「食への感謝」という温度だけは、デジタルな街の中でも大事にしたいところです。

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美味しい料理を食べながらもスマホが離せない人もチラホラ。

旅行者の救世主。神機能「乗車コード」

今回、一番「助かった!」と思ったのが公共交通機関です。
昔のように自動券売機で切符を買ったり売店で交通系ICカードを買う必要はもうありません。AlipayやWeChat Payの中にある「乗車コード(出行)」機能が、とにかく優秀です。
日本で言うPasmoやSuicaみたいなやつですが、別途アプリをインストールしたり交通カードを購入したりする必要は一切なし。
すべてAlipayもしくはWeChatPayのアプリ内で完結します。

ただし都市ごとにシステムが異なる

乗車コードは全国共通というわけではなく、都市ごとにシステムが分かれているので注意が必要ですが、その切り替えも一瞬でできるので慣れれば本当に楽ちん。
列車などで長距離移動して、新しい都市に降り立ったらGPSが感知してその都市のモードに自動で切り替わります。あとはそのエリアで発行している乗車コードを取得するのみ。
数秒で自分専用の改札用QRが発行されるのです。

アプリの「二刀流」が鉄則

たまにAlipayでエラーが出たり、中国の電話番号を求められたりすることも。そんな時はWeChat Payに切り替えると、なぜかスルッと通ることが多い。この使い分け、これから中国へ行く方にはぜひ覚えておいてほしいポイントです。

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バス乗車時に自分のQRを読み込ませる。これで支払い完了。
たまに降車時にもコードが必要な時もあるが、やり方は同じ。

財布はもはや「ただの小物入れ」

キャッシュレスの波にどっぷり浸かっていたある日、スマホの充電が切れそうになり、試しに現金で支払おうとした時のこと。
昔の旅で余った「中国人民元」があったはず…と、自信満々に100元札を店員に手渡しました。

ところが、店員さんは怪訝な顔でお札をひらひらさせている。
よく見ると、そこには「中華民国」の文字。
・・・そう、台湾ドルだったんです。
もう一枚の10元札はマカオのパタカ紙幣(笑)。
今回の旅の道程で持っていた他地域のお金を、勝手に「中国のお金」だと思い込んでいたんですね。

結局、手元には中国人民元の現金は1円(1元)もなかった。
これには自分でも苦笑いです。結局、少しだけ充電を回復させてから、いつものようにスマホで決済。
現金がないと困るどころか、もはや現金の方が「珍客」扱い。それが今の中国のリアルです。

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現金を使おうとしたら台湾とマカオのお金だった(笑)

日本にひたひたと忍び寄る中国支配!?

日本国内でも、中国人観光客や在留者どうしの間で、これら中国系アプリによる決済が広がっているかと思います。
これはまさに税務当局が売上を把握できない「ブラックボックス」化の懸念。
現地を旅して実感したのは、彼らは「便利で、かつ規制されていない領域」を見つける天才だということ。まあ天才というか、持って生まれた国民性とでも言いましょうか。

日本が法制度や慣習で守ってきた領域に、効率と利便性を武器に悪気なくズカズカと入り込んでくる。
早急に国が手を打たないと、日本人の知らないところで経済圏そのものが根底から塗り替えられてしまうんじゃないか・・・。便利さの裏で、そんな一抹の不安を感じずにはいられませんでした。

今回のケセラセラ 便利さと薄気味悪さを感じつつ

日本ではマナー違反や規制の対象にもなり得る「歩きスマホ」「自転車・バイクに乗りながらのスマホ」。中国では一向にお構いなしの状態です。
そんな生活のすべてが巨大企業のシステムに集約され、ITが国民の意識まで支配している姿をみると、この国はこのままどこへ向かうのだろうかと、一旅行者として勝手な薄気味悪さを感じてしまう。

便利すぎる社会への感嘆と、正体不明の薄気味悪さ。
そんな複雑な感情を抱えながら、次の街へと向かいます。

最後に。
政情不安もあって最近は中国にわざわざ旅行に出かける人も減っているかも。でももし今から中国へ旅行しに出かける人がいたら…。
モバイルバッテリーだけは「命の次に大事なもの」として持っていってください(笑)。
スマホの死は、この国では「社会的な死」を意味しますので。

追記(2026/3/21)空港でモバイルバッテリーを没収されました

中国の安全基準「3C」マークがラベリングされていないモバイルバッテリーだったため、空港の保安検査で引っかかり、問答無用で没収されてしまいました。
「入国した時は没収されなかったぞ!」とゴネたのですが、考えてみたら飛行機ではなく船での入国でした(爆)。
近年中国でモバイルバッテリーの爆発事故が増えてきていて、交通機関において3Cマークのついていないモバイルバッテリーの持ち込みが制限されているそうです。船や列車では黙認されるケースがほとんどですが、飛行機はそうはいかないみたいで、かなり厳しいチェックが入りました。
ちなみに没収されたのは中国企業のAnkerのモバイルバッテリー。日本の安全基準「PSEマーク」がついていましたが、中国では関係なく、やはり3Cマークがついていないと確実に没収されるそうです。
ずーっと陸路での移動だったので取り上げられずに済んでいましたが、国内線のフライトに乗る際に持って行かれました。事前に情報を得ていなかった自分にも落ち度がありますね。仕方ありません。
これから中国へ行かれる方はぜひお気をつけください。

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