立ち退き宣告から一転!?近所のゴミ屋敷に突撃したら不動産の闇を見た話

団地のイメージ画像

※この記事に登場する「孤独死」や「海外系投資法人」などの裏事情は、あくまで状況証拠から勝手に想像したエンタメ的推測です。半分フィクションの読み物としてお楽しみください。


こんにちは、Luisです。

僕ら夫婦にとって、日本の賃貸暮らしというのは「長めの旅行で滞在している仮の宿」のような感覚です。
バックパック一つで海外の路地裏を歩いている時が一番ワクワクするように、僕も妻(メーさん)も「持ち家を買って定住する」という発想が根っこからありません。気分や状況に合わせて軽やかに住処を変えていくほうが、生き方的にはしっくりくるのです。

そんな僕らに、ある日突然、大きな転機が訪れました。

現在住んでいる海の近くの緑豊かな団地。環境も良くて夫婦ともにすごく気に入っていたのですが、仲介の不動産屋さんを通して大家さんから一通のお手紙が届いたのです。

「事情があって部屋を自己使用に戻したいので、来年の初め頃までに退去してほしい」

いわゆる「立ち退き」のお願いでした。
普通なら「えっ、引っ越し!?めんどくさいしお金かかる!」とパニックになるところですが、そこはケセラセラ精神の我が家。「まあ、次はどこに泊まろうか(住もうか)」と、次の街のゲストハウスを探すような軽いノリで受け止めました。

しかもこの大家さん、本当に誠実で良い方。貸主側の都合による退去のため、ある程度は引越し費用を負担すると聞いていたけど、打ち合わせの結果、なんと「かなりまとまった額の退去費用(引っ越し代)」をポンと支給してくれるという神対応!さらに、早めに退去してもその費用は全額もらえるとのこと。つまり、引っ越すのが早ければ早いほど、手元に資金が残るというありがたい状況になったのです。

「それなら、初期費用をとことん抑えてセルフ引っ越しをすれば、かなり手元にお金が残るぞ…!」

そんな皮算用をしながら、ウキウキで格安物件探しをスタートさせたわけですが…。
まさかそのノリのせいで、不動産のディープな闇が煮詰まった「激ヤバ物件」に突撃することになるとは、この時はまだ知る由もありませんでした。

某有名ポータルサイトで見つけた、狂気の一枚

「お、ここ、いま住んでる団地のすぐ隣の棟じゃね?」

不動産や賃貸物件を探す人は誰もが使う某有名ポータルサイトを眺めていた僕の目に、見覚えのある外観の物件が飛び込んできました。なんと、いま住んでいるお気に入りの団地の別部屋です。
条件を見てみると、家賃は破格の「2万円台」!

一瞬、我が目を疑いました。現在の家賃の半額以下です。
「これは掘り出し物か!?」と胸を躍らせながら、掲載されている室内の写真をスクロールした瞬間、指が止まりました。というか、思考がフリーズしました。

画面に映し出されていたのは、綺麗でおしゃれなリフォーム後の部屋…とは真逆の、前住人の生活感がこれでもかと丸出しになった、絵に描いたような「ゴミ屋敷」の風景だったのです。

ゴミ屋敷イメージ
某有名物件検索サイトにこんな感じの写真が堂々と掲載されておりました。
(画像はAI生成)

床が見えないほどの荷物、乱雑に積まれた段ボール、いつから放置されているのか分からない家具の山。
普通の不動産屋なら絶対にネットに載せない――というか、載せたら一発で客が逃げるレベルの狂気的な写真が、何食わぬ顔でそのまま掲載されています。

さらに条件の内訳をよく見ると、もう一つのカラクリに気づきました。
家賃は2万円台ですが、管理費も同額の2万円台に設定されていたのです。合計すると結局普通の家賃になります。家賃を極端に安く見せて検索に引っかかるようにする、宿探しでもよくある「決済画面に行ったら謎の税金とサービス料で金額が増し増しになる」あのアレです。

怪しさはマックス。普通の人ならここでブラウザを閉じるでしょう。
だけど、バックパッカー生活で「怪しい安宿」に何度も突撃してきた僕の好奇心に、完全に火がついてしまいました。

「すべて現状貸し」という名のパワーメール

冷やかし半分に問い合わせを入れてみると、意外にも爆速で返信メールが届きました。
おそらく海外(某国系)の投資法人が運営しているのか、少し日本語のニュアンスがおかしい。そしてその文面が凄まじかったのです。

「全て現状での貸し出しになります。以降質問等は内覧後でお願いいたします」

清々しいほどの責任放棄です。「あの写真のゴミの山も含めて、そのまま貸すから文句言うなよ」ということ。
さらに読み進めると、

「内覧も可能です。お客様のみで直接現地確認でお願い致します(弊社スタッフ案内同行致しかねます)」

営業マンは来ない。身分証のコピーを送ったらキーボックスの番号を教えるから、勝手に鍵を開けて勝手に見てくれ、という究極のコストカットスタイル。
おまけに物件のPR欄には、「DIY可」「原状回復不要」「楽器制限なし」「国籍制限無」と、ありとあらゆる条件がフルオープンで並んでいました。

訳ありで審査に落ちて行き場をなくした人をターゲットに、中の片付けもリフォームも一切せず、そのままの状態で貸し出して家賃を回収する。そういうビジネスモデルなのでしょう。
おもしろい。我が家から徒歩30秒の場所にある、リアルな「不動産の闇」。

内見希望のメールを送ると、またしても爆速で返信が。
「ありがとうございます」も何もない、ただキーボックスの番号だけが書かれた省エネ返信でした。
昔インドの怪しい民泊を予約した時もこんな省エネメールが来たな。これはあきらかに日本人じゃない対応です。

何はともあれ無事にキーボックスの番号を手に入れ、早速メーさんと一緒に「徒歩30秒のダークツーリズム」へと出かけることにしました。

突撃、隣のゴミ屋敷。そして冷蔵庫の悲劇

教えてもらった番号でキーボックスをパチリと開け、劣化して変色した金属の鍵を取り出します。
ガチャリ、と鍵を回してトビラを開けました。

「うーわ」

ドアを開けた瞬間に鼻を突いたのは、長年、光と風を遮断された部屋に特有の、カビと油と、何かが発酵したような妙な異臭。
そして「いくらなんでも少しは片付けがされているんだろう」という浅はかな考えが完全に打ち砕かれます。
一歩中に足を踏み入れると、そこはまさにネットに掲載されていた写真通りの激烈な空間でした。

前の住人が着ていた服、雑誌、調味料の瓶、壊れた家電。まるで、住んでいた人が突然その場から神隠しにでもあったかのように、生活の残骸がそのままの形でフリーズしています。
ベランダに出てみると、長い間放置された結果、そこは鳩たちのユートピアと化していました。見渡す限りのフン、フン、フン。

鉄筋コンクリート造のこの団地は、本来ならとても暮らしやすいはずなのです。それなのに、管理を放棄され、住む人を失うと、部屋はここまで一気に「廃墟」へと向かってしまうのかと、少し悲しくすらなりました。

しかし、本当の悲劇はこの後に待っていました。
キッチンの隅に鎮座する、年季の入ったファミリーサイズの冷蔵庫。

ゴミ屋敷のキッチンのイメージ
少し旧型の、でもまだ使えそうな冷蔵庫が鎮座しておりました。
(画像はAI生成)

「中、どうなってるんだろうね…」

好奇心に負けたメーさんが、恐る恐るその扉をほんの数センチだけ引いた瞬間でした。

「ッ!!!!!」

脳天を突き抜けるような、凄まじい激臭が室内に解き放たれました。言葉を選ばずに言うなら、完全に中の「何か」が腐敗しきったあの臭いです。

「無理無理無理無理!!!!」

メーさんは文字通り一目散に玄関へとダッシュし、そのまま外へと脱出していきました。

「こりゃ、完全にやばい。」

僕も慌てて扉を閉め、命からがら外へ飛び出しました。

「自分らで荷物とか運び出して掃除すればいいんでしょ?また同じ団地に住めるなんてラッキー。」
余裕かましてそんなことを考えていた数時間前が遠い過去のように思えました。

団地の会報誌に眠っていた、もう一つの真実

「あの部屋、一体全体どういう経緯でああなっちゃったんだろうね」

自宅に戻り、麦茶を飲みながらメーさんとそんな話をしていた時、ふと思い出したものがありました。
何ヶ月か前にポストに入っていた、団地の管理組合の会報誌です。

確か、何かの部屋のトラブルについて書かれていたような…。
ガサゴソと古い書類をひっくり返し、そのページを見つけた瞬間、背筋にゾクリと冷たいものが走りました。そこには、まさに僕らがさっきまでいた部屋の番号とともに、こんな風に書かれていたのです。

『〇〇号室 相続財産清算人選定の申立の進捗状況』
『弁護士は家庭裁判所に申立の手続きを済ませました。家裁は選定作業に入っております』

すべてのパズルのピースが、一瞬でガチリと繋がりました。

あくまで推測ですが、おそらく元の所有者の方が天涯孤独のまま室内でお亡くなりになった(あるいは施設へ入り相続放棄された)。そして団地の管理組合が弁護士を雇って裁判所に申し立て、部屋が競売にかけられた。
それを、例の投資法人が格安で落札し、1円も清掃費をかけずにそのままネットに掲載した…という流れでしょう。(あくまで推測の域ですが)

結果、プロの特殊清掃レベルが必要な部屋。とてもじゃないけれど、素人がDIYでどうにかできる代物ではありませんでした。

団地のベランダ
自宅のベランダのミニトマト。
この隣の棟にあんなやばい部屋があったなんて。

今回のケセラセラ やっぱり「まともな家」を探そう(笑)

不動産のリアルな闇を覗き見てしまった僕ら。
仲介の不動産屋さんに聞いてみたら「最初は家賃や管理費を下げておいて、入居者に掃除や片付けをさせて、その後金額を爆上げして立ち退かせる」みたいな怖いことも言ってました。
「某国系の業者はそういうエゲツないことを平気でやる」とも。

「手元に資金を残したいからって、あんなヤバい物件に無理して住むのは絶対にやめよう」と、夫婦で固く誓い合いました(笑)。

幸い、いまの大家さんからいただける退去費用のおかげで、焦らずにちゃんとした物件を探す余裕はあります。
その後、気を取り直して探し直した結果、隣町にあるメゾネット風のテラスハウスが新たな大本命として浮上してきました。上階の足音を気にする必要もなく、戸建て感覚で住めるということで、メーさんも猛烈に気に入っています。

突然の立ち退き宣告から始まり、近所のゴミ屋敷への突撃という予想外の寄り道をしてしまいましたが、結果的には自分たちの理想に近い新しい「仮の宿」に出会えそうです。

さてさて、次の街での暮らしはどうなることやら。
これからも「あるがままケセラセラ」の精神で、身軽に楽しく生きていこうと思います!

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